ヴェネチアの聖女の名サンタ・イリニがなまって生じたこの島の名(古名はティラまたはシーラ)は、メテオラとともに、ギリシア随一の奇観を形成しています。
火山島サントリニは、有史以前における大爆発の際中央部がすっかり吹き飛んでしまいました。
三日月形の現在の陸地はいわば"生き残りの島"にすぎないのです。
岩膚がむき出しの断崖の連なりは、200メートルの高さで船の着岸を拒否するようにそびえ立っています。
ティラの町へは、ネコのひたいほどの船着き場からジグザグ道の急坂を、ロバの背にまたがって数百メートルを登るのですが、その2、30分の何と長く感じられることでしょうか。
ここにもミコノスと同じ白の幻想があり、デロスと同じ古代への想像力をかきたてる遺跡があります。
この遺跡の発掘は1950年代に始まったばかりですが、余りにも高度な文明の出現に、
「これこそは、一日と悲惨な一夜の果てに滅んだという楽園プラトンが語ったアトランチスではないか」
・・・という学者も出るほど。
しかし多分、これは島特産のブドウ酒の酔から生まれる幻想で、地質学者はこの爆発は紀元前1400年頃と推定、この結果生じた大地震がティラおよびクレタの文明をも滅ぼしたのだろうと考えます。
山の頂きに登れば、南方120キロの水平線上にクレタの紫の島影が見えます。